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風邪は「薬」で本当に治る? 今回は風邪の治療についてです。以前も書きましたが、風邪は治療しないで放っておいてもそのうち治ってしまいます。そのうち治るのですから、治療をしなければいけないということはありません。 風邪は治療しなくてもよい。 これはまず確認しておきたいところです。医師から「風邪ですね」と言われたら、特に薬をもらうことなく家に帰って寝ていればいいのです。 それでもなお風邪に対する治療に意味があるとしたら、「早く治す」ということでしょう。薬局で買える総合感冒薬のCMがテレビで頻繁に流れていますが、どれも「早めに飲んで早く治そう」という感じのものです。しかし、驚くべきことに、市販の風邪薬に風邪を早く治す効果はないことが分かっています。 そもそも総合感冒薬とはどんな薬かというと、それぞれの症状を抑えつける複数の成分からなる症状緩和薬です。市販の総合感冒薬には多くの薬が入っています。具体的に一つの総合感冒薬の成分を見てみましょう。 ▽ クレマスチンフマル酸(鼻水止め) ▽リゾチーム塩酸塩(炎症を鎮める) ▽アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤) ▽ジヒドロコデインリン酸塩(せき止め) ▽ノスカピン(同) ▽メチルエフェドリン塩酸塩(同) ▽グアヤコールスルホン酸カリウム(たんをきれやすくする) ▽無水カフェイン(眠気防止) ▽ベンフォチアミン(ビタミンB1) 以上の9種類です。 どれも、薬が効いている間は症状を緩和しますが、 早く治すわけではありません。 「薬を飲んで一発で治った」という経験をされた人もいると思いますが、 それは薬で症状を抑えている間に勝手に治ったのであって、 薬で早く治っているわけではないのです。 もちろん治るまでの症状が一時的にでも軽くなるというのは十分意味があることですから、風邪薬が無意味だというわけではありません。 ただ市販の薬には勝手にいろいろな成分が入ってしまっていますから、熱もないのに解熱剤も飲むという無駄や、必要のない薬による副作用が出るなどのデメリットもあります。 繰り返しますが、風邪薬とは風邪を早く治す薬ではありません。風邪薬を飲む目的は、その場のつらい症状を楽にするためです。 症状があまりつらくもない軽い時期に風邪薬を飲むのは、副作用や薬代にかかる費用のことを考えると、お勧めできないばかりか、やめた方がいいことなのです。 ( 【家庭医が教える病気のはなし(84)】武蔵国分寺公園クリニック院長・名郷直樹 2015.2.3)
by comeonin_57
| 2015-04-26 21:16
| かぜ
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