動脈血酸素飽和度(SpO2⇒サチュレーション)
飽和度の方は血中のヘモグロビンと酸素がどれだけ結合しているかの数値です。
動脈血酸素分圧(PO2 PaO2)
血液ガスの正常値
•pH=7.4±0.04
•PaO2=107.2-0.43×年齢
•PaCO2=40±4
•HCO3=23±2
•BE=±2
これだけ。もっと大雑把に、PaO2 100、PaCO2 40、BE 0と覚えておいたほうが実用的かもしれない。
血圧や心電図検査は一般の方にも馴染みが深いが、最近登場したモニターのニューフェースといえる器械にパルスオキシメータがある。以前は重く、大きく、高額であった。現在では小型軽量化し、また安価になったために、容易に高所に持参できるようになった。
高所トレッキングを行う一部の旅行社ではすでに採用しており、ご存知の方も少なくないだろう。
パルスオキシメータは指先を洗濯ばさみのようなセンサーではさみ、連続的に動脈の酸素化の程度(動脈血酸素飽和度)と脈拍数を示す器械である。センサーには発光ダイオードが内蔵され、拍動している動脈血の成分だけを読み取ることができる。ヘモグロビンが酸素に結合している酸素ヘモグロビンは赤く、結合していない還元ヘモグロビンは黒いことを利用し、指先を透過した光の赤度と黒度を分光分析し、2波長の光の吸光度の比から動脈血酸素飽和度が算出される。以前は採血してなければ動脈血の酸素のレベルを知ることができなかったことを考えると、すぐれものである
動脈血酸素飽和度の最高値は100%であり、ヘモグロビンが最大限に酸素に結合している状態である。通常の生活圏(低地)の大気中では正常値は96%以上であり、それ以下では低酸素症と考えられる。高度が上昇すると大気中の酸素のレベル(酸素分圧)は低下し、標高5500mでは半分になる。それに伴って低酸素状態となり、動脈血酸素飽和度は低下する。高所では過呼吸をすると酸素飽和度を上昇させることができ、高所馴化が良い人では低下が少ない傾向がある。
高所馴化は、当初は換気量の増加と心拍出量の増加などの呼吸循環系の代償によって行われる。心臓については、高所順化がスムーズな人では心臓の1回当たりの拍出量が多くなり、脈拍数の増加は少ない。したがって、「酸素飽和度÷脈拍」が高値であれば、つまり、酸素飽和度が高く、脈拍数の増加が少なければ、高所順化が良好であるという目安になる。
しかし、パルスオキシメータは脈拍がとりにくいと測定できず、寒冷などで末梢循環が悪い場合には値を得にくい。また、呼吸の状態で値は容易に変動するので、安定した呼吸状態の時に測定する必要がある。さらに、爪にマニキュアをしていると低値を示す。マニキュアは高所トレッキングには避けるべきおしゃれといえよう。